
Artist Onda Toshio
アーティスト 恩田トシオについて
埼玉県秩父市在住。恩田さんは1995年、高校2年生の時、修学旅行で広島を訪れ、原爆ドームを見て衝撃を受けました。「原爆で犠牲になった人たちの叫びが聞こえたような気がした」といいます。多くの人にヒロシマについて伝えようと、当時所属していた天文地学部で原爆ドームの模型作りを一人で始めました。やがて他の部員たちも作業に加わるようになります。
恩田さんたちは模型を作るうちに様々な疑問を持ちました。「なぜこのような形で残骸が残ったのだろう」「建物の中にいた人たちはどうなったのだろう」
恩田くんは一緒に模型作りに取り組んだ部員と再び広島を訪れ、被爆者の吉川生美(きっかわいきみ)さんと出会い、被爆体験をじっくりと聞きました。その後も毎年、8月6日前後に広島を訪れるようになります。
かつて土産物屋を営んでいた吉川さんは恩田さんに絵の才能があると確信し、「原爆ドームの絵を描いて絵ハガキにしたらどうか」と提案しました。恩田さんの生活を支援するためです。
恩田さんは広島に滞在して独自の感性で原爆ドームの絵を何枚も描き、ドームの絵ハガキができました。その後も毎年、新作の原爆ドームの絵を描いています。
またもともと鉄道写真が趣味で、多くの原爆ドームの写真も撮影しています。
恩田さんの取り組みは高校の英語の教科書にも取り上げられました。
プロフィール
1978年 埼玉県秩父市に生まれる。脳性小児まひと診断される。
1955年 修学旅行で広島を訪れ、原爆ドームと出会い衝撃をうける
原爆ドームの模型製作を埼玉県立小鹿野高校の生徒たちに呼びかけ
3年をかけて模型を完成。ドーム製作の過程で吉川生美さんと出会う。
1998年 原爆ドームの絵を描き始める
2000年 被爆者 吉川生美さんのアドバイスを受け、原爆ドームの絵葉書を制作
2001年 東京 上野の森美術館 日本の自然を描く展で入選
以来、毎年、原爆ドームをテーマにした絵を描き続ける


写真撮影:長谷川 潤
